ALSとは

ALSについて

筋萎縮性側索硬化症(以下、ALS)、脳や脊髄からの命令を筋肉に伝える役割をしている運動ニューロン(運動神経細胞)が、何らかの原因で障害されて、脳からの信号が筋肉に伝わらなくなる病気です。ALSの発症後、筋肉の萎縮が次第に進行するため思い通りの動作ができなくなったり、さらに症状が進むと、呼吸筋も次第に弱くなっていき、人工呼吸器の助けを借りなければ、呼吸ができなくなる難治性神経変性疾患です。

ALSの病態の全容は解明されていませんが、これまでの研究から病因としてグルタミン酸毒性※1、酸化ストレス亢進※2、ミトコンドリアの機能障害※3などの関与が想定されています。

ALSの治療薬について

現在、ALSの治療薬としては、内服薬のリルテック®錠(リルゾール)と点滴静注薬のラジカット®(エダラボン)の2剤が保険承認されています。リルゾールはグルタミン酸毒性を軽減する薬剤であり、発症後の平均余命(死亡または人工呼吸器に繋がるまでの時間)を約3ヶ月間延長する効果が示されていますが、ALSによる機能障害の進行抑制効果は認められていません。一方、エダラボンは酸化ストレスを軽減する作用(抗酸化作用)を持ち、機能障害の進行を遅延させる効果が示され、平均余命の延長効果については現在検証中です。これまで多くの薬剤がALS患者様を対象に臨床試験で評価されてきましたが、リルゾールとエダラボンを除き、いずれも承認には至っておらず、より生存期間を延長する、又は臨床症状を改善する薬剤の開発が期待されています。

※1グルタミン酸毒性:運動ニューロンにおいて神経伝達物質であるグルタミン酸の過剰・神経毒性が神経細胞死を引き起こされる。
※2酸化ストレス亢進:呼吸によるエネルギー生産等の過程で生じた過酸化物質が消去しきれずたまってしまい、タンパク質やDNAなどの様々な生体分子を酸化して傷害を加え、神経細胞死を引き起こす。
※3ミトコンドリア機能障害:運動ニューロンに存在する細胞内小器官であり、エネルギー合成を担っているミトコンドリアの機能障害により神経細胞死が生じる。


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